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Varanasi滞在記 vol.2 「やさしい涙」 2004年12月22日
ガンガーに面するガート(沐浴場)沿い歩き、沐浴する人達を眺めながら火葬場へ足を運ぶ。キャンプファイアーのように木を組み、その上に赤色やオレンジの布で覆われた遺体が乗せられている。やせ細っていてあまり凹凸がなく、両足らしき盛り上がりを見つけるまではそれと気付かなかった。まだ燃やし始めたところで、これから2〜4時間かかるという。



焼かれるのを待つ、遺体達が担架の様なモノに乗せられて入ってくる。遺体を持つ男達は何やら歌を歌っている。遺体は担架ごとガンガーで身を清められ、口に何度もガンガーの水を含まされた後、担架から、用意された組木の上に移され、おが屑やラード状の油をかけられて、焼かれる。少ししてからその場を離れた。今度は最後まで見てみようと思う。





戻りがてらガートにあるチャイ屋(インドのクソ甘いミルクティー。ジンジャーやマサラを入れている所もある。)で足を止めた。ばあちゃんが「Sit(座りな)」と言って布切れみたいなカーペットを指差す。日本から来ていたら絶対に座らないであろうそのカーペットを見て、一瞬汚いと感じたが、すぐに座った。



目の前をガンガーの水を入れたボトルをいっぱい持った家族が通り過ぎる。ガンガーの水は現世の罪を洗い流す聖水とされていて、遠くに住む下級層の人達にしてみれば、ガンガーの水で沐浴するなんて夢のようなありがたい事なのだろう。俺のような観光客が、ただ好奇心だけで沐浴しても良いものかどうか。衛生状態もさることながら、ソレが気になってしまい、まだガンガーの水に触れていない。





隣でチャイを飲んでいた総ちゃんが、「人間は年老いてから、やっと祈るのかね。」といった内容の事をつぶやいた。あの遺体になってしまった人達も生前、現世の罪を清め、来世を夢見ながら神に祈り、ガンガーで沐浴をしていたのだろうか。ぼんやりと沐浴している人達を眺めていたら、ラオスのルアンパバーンで毎朝修行僧にもち米を与えていた老人達とその姿がダブった。彼らも輪廻転生を信じ、徳を積んで現世を終える事を望んでいた。今朝だってきっと托鉢する僧達の為にもち米を炊いたに違いない。沐浴する人達が、托鉢でもち米を与えている老人達が急に神聖なモノに思えてきた。いや、その人達の「生」そのものに尊さを感じたのかもしれない。涙が出た。





悲しみでも、怒りでも、感謝や喜びでもない涙。今まで流したことのない涙だった。どう説明していいのか分からず、そのままを総ちゃんに伝えてみた。すると、「それはきっと優しい涙なんだ。」と、たった一言で俺の疑問を解決してみせた。穏やかに流す涙。なるほど、これがそうなのか。



俺はこの旅の中であと幾度、優しい涙を流せるのだろう。

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